時効取得の事実があったことを証する登記原因証明情報の作成方法
概要
時効による所有権移転登記を行う場合、
時効取得の事実があったことを証明するために登記原因証明情報を添付します。
登記原因証明情報の書式
登記原因証明情報
1 登記申請情報の要項 (1)登記の目的:所有権移転 (2)登記の原因:平成5年1月1日時効取得 (3)当事者 :権利者 中央区登記町1丁目1番1号 法務太郎 義務者 中央区登記町5丁目5番5号 隣野健太 (4)不動産の表示 所在 杉並区登記町1丁目 地番 1番 地目 宅地 地積 123.45平方メートル 2 登記の原因となる事実又は法律行為 (1)法務太郎は、平成5年1月1日、本件土地を所有の意思をもって占有し、 平成25年1月1日まで継続して20年間、本件土地を占有した。 (2)隣野健太は、本件土地の所有権登記名義人である。 (3)法務太郎は、隣野健太に対し、平成25年1月5日、時効を援用した。 平成25年1月10日 〇〇法務局 御中 上記の登記原因のとおり相違ありません。 (権利者) 中央区登記町1丁目1番1号 法務太郎 印 (義務者) 中央区登記町5丁目5番5号 隣野健太 印
(2)登記の原因
時効の起算日となる占有開始日を原因日付として記載します。
(3)当事者
権利者(時効取得者)と義務者(時効取得前の元々の所有者)の
住所・氏名または名称をそれぞれ記載します。
権利者・義務者共に押印は認印で構いません。
(4)不動産の表示
登記申請書と同様に記載します。不動産番号は記載不要です。
登記の原因となる事実又は法律行為
時効取得の要件を満たしていることを具体的に記載します。
添付する際は記載に問題がないか登記官に確認を取って下さい。
取得時効の要件は下記の通りです。
- 所有の意思をもった占有であること(自主占有)
- 平穏かつ公然と占有すること
- 他人のものであること
- 一定期間占有を継続すること
所有の意思をもった占有(自主占有)
所有の意思とは、「所有者らしく振る舞うこと」を意味します。
売買や贈与により取得した場合は所有の意思をもった占有と言えます。
賃貸で借りている場合は所有の意思があるとは言えず、他主占有となります。
自主占有か他主占有かは客観的に判断するため、
「所有するつもりだった」としても賃貸で借りていれば基本的には他主占有となります。
平穏かつ公然と占有
所有者を脅迫して無理やり占有した場合は平穏に占有したとは言えませんし、
占有していることを秘匿せず公然とした占有を行わなければなりません。
他人のものであること
上記書式では本件土地が登記名義人のものである旨を記載しています。
一定期間占有を継続すること
権利者が占有について悪意・有過失であれば20年、善意・無過失であれば10年を要します。
悪意・有過失であり、かつ20年間占有した場合は特に問題ありませんが、
善意・無過失で10年間の占有であれば、善意・無過失の根拠事実を具体的に記載して下さい。
時効の援用
時効は援用しなければ主張できないため、
時効主張した日付を含め、時効援用した事実を記載して下さい。
タグ
2013年8月3日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:添付書類