相続による所有権移転登記の申請方法
概要
被相続人の死亡を原因として法定相続人が被相続人から不動産を相続した時に申請します。
売買による所有権移転登記と異なり、各相続人が単独で申請可能です。
注意点
- 相続人に「遺贈する」旨の遺言は、遺贈となります。
- 相続人以外の者に「相続させる」旨の遺言は、遺贈となります。
相続人以外の者が相続をすることは出来ないためです。
申請書の書式
赤字の括弧書きは必要な記載事項です。
相続人の押印は一人分で構いません。
登記申請書
登記の目的:所有権移転 原因:平成25年1月1日相続 相続人:(被相続人 法務花子) 持分2分の1 中央区登記町2丁目2番2号 法務二郎 印 持分2分の1 中央区登記町3丁目3番3号 法務三郎 平成25年1月10日申請 〇〇法務局 添付情報: 登記原因証明情報 住所証明情報 課税価格:金10,00,000円 登録免許税:金40,000円 不動産の表示 不動産番号 〇〇〇〇〇 所在 杉並区登記町1丁目 地番 1番 地目 宅地 地積 123.45平方メートル 不動産の表示 不動産番号 〇〇〇〇〇 所在 杉並区登記町1丁目 家屋番号 1番 種類 居宅 構造 鉄筋コンクリート2階建 床面積 1階 50.00平方メートル 2階 30.00平方メートル
原因
原因に記載する日付は、被相続人が死亡した年月日を記載します。
相続人
相続人の欄には、法定相続人全員の住所・氏名を記載します。
相続人でない者は相続を受けることは出来ず(遺贈となる)、
また法人は相続人となることはありません(同様に遺贈となる)ので注意して下さい。
相続人の住所・氏名は、住民票と一致していなければなりません。
法定相続人の氏名の横に印鑑を押印します。認め印でも可能です。
相続を原因とした所有権移転登記は相続人のうちいずれか1人による申請も可能なので、
複数の法定相続人がいても印鑑を押すのは1人でも構いません。
相続人の欄には被相続人の氏名を(被相続人 〇〇〇〇)のように記載します。
法定相続分に応じて各相続人の持分を登記する場合
法定相続分に従って所有権移転登記を行う際は別途書類は必要ありません。
上記の書式の場合、法定相続人は法務二郎・法務三郎の二人ですので
それぞれが持分2分の1ずつの登記をすることになります。
法定相続分と異なる登記する場合
遺産分割協議・遺言書等で法定相続分と異なる持分比率にしたり、
または相続人のうちの誰か一人の単独所有として移転登記を行ったりする場合、
法定相続分と異なるため追加の必要書類が必要となります。
- 遺産分割協議がなされた場合、遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書。
- 遺言書で相続分が指定されている場合、遺言書。
- 相続人が家庭裁判所に相続放棄の申述をした場合、相続放棄申述受理証明書。
添付書類
- 登記原因証明情報として、被相続人および相続人の戸籍謄本等を添付します。
- 住所証明情報として、相続人全員の住民票等を添付します。住民票は、お住まいの市区町村で発行可能です。
- 司法書士・弁護士に依頼する場合は委任状も必要ですが、委任状も作成から3ヵ月以内のものに限ります。相続の場合は相続人による単独申請が可能なので、相続人のうちいずれかの者の委任状を添付すれば足ります。もちろん、相続人全員で申請することも可能であり、その場合、申請人となった相続人全員の委任状を添付します。
課税価格・課税標準
⇒不動産の所有権移転登記における課税価格・登録免許税の計算方法
不動産の表示
不動産番号を記載した場合は,下記の記載を省略できます。
- 土地の場合・・・土地の所在、地番、地目及び地積の記載。
- 建物の場合・・・建物の所在、家屋番号、種類、構造及び床面積の記載。
実際には登記官が確認しやすいように全て記載することが望ましいので、
登記簿謄本を参考に記載して下さい。
提出先
不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。
登記済証または登記識別情報を提供できない場合
登記済証または登記識別情報を紛失した場合でも登記申請は可能です。
司法書士・弁護士が代理申請する場合
申請情報
申請書には、申請人の押印の代わりに、以下の情報を添付情報の上に追加記載します。
代理人 中央区登記町2丁目2番2号 司法太郎 印 連絡先の電話番号03−〇〇〇〇−〇〇〇〇 添付情報: 代理権限証明情報
代理人によって申請する場合、申請人による申請書への押印は不要です。
その代わり、委任状への押印が必要となります。
委任状へ押印するのは登記権利者である相続人のみですので、認印で構いません。
添付情報
本人申請の場合に加えて、
代理権現象名情報として申請人となる相続人の委任状が必要です。
委任状は、作成後3ヵ月以内のものに限ります。
上記書式の場合は、法務二郎または法務三郎の委任状が必要となります。
相続を原因とした所有権移転登記は相続人のうちいずれか1人が申請することも可能なので、
申請人となる相続人の委任状のみで構いません。
全員が申請人となることも可能ですが、その場合は、全員の委任状を添付します。
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2013年8月2日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:所有権移転登記