不動産登記を代理申請する場合の委任状の書式

概要

代理人に依頼して登記申請する際に、代理権限証明情報として委任状を添付します。

委任状の書式

委任状

代理人:
(住所)東京都中央区登記町2丁目2番2号
(氏名)司法書士 司法太郎

私は、上記の者を代理人と定め、次の登記申請に関する一切の権限を委任する。

1.売買による所有権移転登記の申請に関する権限
2.登記識別情報の暗号化および復号化に関する権限
3.登記識別情報の受領または郵送による受領をする権限
4.復代理人選任の権限

を委任します。

平成25年1月10日

権利者:
(住所)中央区登記町1丁目1番1号
(氏名)法務太郎 印

義務者:
(住所)中央区登記町1丁目1番1号
(氏名)法務花子 印

代理人の住所・氏名または名称

代理人が司法書士法人の場合、下記のように記載します。

代理人:
(住所)東京都中央区登記町2丁目2番2号
(名称)司法書士法人〇〇〇リーガルパートナーズ

委任する権限

「〇〇による〇〇〇〇登記の申請に関する権限」という具合に記載します。
2〜4も記載しておきます。

権利者・義務者の住所・氏名・押印

権利者の氏名の横には権利者の認印
義務者の氏名の横には義務者の実印を押印します。

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2013年8月13日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:添付書類

時効取得の事実があったことを証する登記原因証明情報の作成方法

概要

時効による所有権移転登記を行う場合、
時効取得の事実があったことを証明するために登記原因証明情報を添付します。

登記原因証明情報の書式

登記原因証明情報

1 登記申請情報の要項

(1)登記の目的:所有権移転
(2)登記の原因:平成5年1月1日時効取得
(3)当事者  :権利者 中央区登記町1丁目1番1号 法務太郎
         義務者 中央区登記町5丁目5番5号 隣野健太

(4)不動産の表示
   所在 杉並区登記町1丁目
   地番 1番
   地目 宅地
   地積 123.45平方メートル

2 登記の原因となる事実又は法律行為

(1)法務太郎は、平成5年1月1日、本件土地を所有の意思をもって占有し、
   平成25年1月1日まで継続して20年間、本件土地を占有した。
(2)隣野健太は、本件土地の所有権登記名義人である。
(3)法務太郎は、隣野健太に対し、平成25年1月5日、時効を援用した。

平成25年1月10日 〇〇法務局 御中

 上記の登記原因のとおり相違ありません。

(権利者) 中央区登記町1丁目1番1号
      法務太郎 印

(義務者) 中央区登記町5丁目5番5号
      隣野健太 印

(2)登記の原因

時効の起算日となる占有開始日を原因日付として記載します。

(3)当事者

権利者(時効取得者)と義務者(時効取得前の元々の所有者)の
住所・氏名または名称をそれぞれ記載します。

権利者・義務者共に押印は認印で構いません。

(4)不動産の表示

登記申請書と同様に記載します。不動産番号は記載不要です。

登記の原因となる事実又は法律行為

時効取得の要件を満たしていることを具体的に記載します。
添付する際は記載に問題がないか登記官に確認を取って下さい。

取得時効の要件は下記の通りです。

  1. 所有の意思をもった占有であること(自主占有)
  2. 平穏かつ公然と占有すること
  3. 他人のものであること
  4. 一定期間占有を継続すること

所有の意思をもった占有(自主占有)

所有の意思とは、「所有者らしく振る舞うこと」を意味します。
売買や贈与により取得した場合は所有の意思をもった占有と言えます。

賃貸で借りている場合は所有の意思があるとは言えず、他主占有となります。
自主占有か他主占有かは客観的に判断するため、
「所有するつもりだった」としても賃貸で借りていれば基本的には他主占有となります。

平穏かつ公然と占有

所有者を脅迫して無理やり占有した場合は平穏に占有したとは言えませんし、
占有していることを秘匿せず公然とした占有を行わなければなりません。

他人のものであること

上記書式では本件土地が登記名義人のものである旨を記載しています。

一定期間占有を継続すること

権利者が占有について悪意・有過失であれば20年善意・無過失であれば10年を要します。

悪意・有過失であり、かつ20年間占有した場合は特に問題ありませんが、
善意・無過失で10年間の占有であれば、善意・無過失の根拠事実を具体的に記載して下さい。

時効の援用

時効は援用しなければ主張できないため、
時効主張した日付を含め、時効援用した事実を記載して下さい。

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2013年8月3日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:添付書類

事前通知・前住所通知が必要な場合に該当するかどうかの判定

概要

登記義務者が不動産登記を行う際に登記済証または登記識別情報を提出できない場合、
事前通知・前住所通知が必要か不要かを判定できます。

判定表

質問1申請日前3ヶ月以内に登記義務者の住所の変更登記または更正登記がされているか?
はい いいえ
質問2:資格者代理人による本人確認情
報の提供または公証人の認証があるか?
質問2:資格者代理人による本人確認情
報の提供または公証人の認証があるか?
はい いいえ はい いいえ
質問3:提供された本人確認
情報の内容により申請人が登
記義務者であることが確実で
あると認められるか?
はい いいえ
事前通知省略可
前住所通知不要
事前通知省略可
前住所通知必要
事前通知必要
前住所通知必要
事前通知省略可
前住所通知不要
事前通知必要
前住所通知不要

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2013年8月3日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:添付書類

事前通知書の送付先と事前通知に対する申出の方法

事前通知書の送付先

事前通知書は原則として登記義務者の登記上の住所に送付されます。

例外として、前住所通知が行われる場合は
登記義務者の住所変更前の住所にも通知がされます。

事前通知・前住所通知が必要な場合に該当するかどうかの判定

事前通知に対する申出

登記所による事前通知は、必ず書面により行われます

一方、事前通知に対する申出は申請方式により異なります。

電子申請による場合

オンラインで申し出ます。

書面申請による場合

書面で申し出ます。

特例方式による場合

代理人による申請で、委任状が書面により提出された場合に限り、
書面により申し出ることができます。

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2013年8月3日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:添付書類

登記済証または登記識別情報を提供できない場合

登記済証または登記識別情報を紛失・盗難・焼失等により
法務局に提出できなくなってしまった場合、
あるいは登記識別情報の通知を希望しなかった・失効請求がされていた場合、
所定の事項を申請書に記載することで登記申請が可能です。

ただし、必要な手続きが生じることで登記実行までに期間を要する場合があります。

申請書に記載する事項

追加記載事項は添付情報の上に次のように記載します。

平成25年1月10日申請 〇〇法務局

登記済証(登記識別情報)を提供することができない理由:〇〇

添付情報:
登記原因証明情報
印鑑証明書
住所証明情報

紛失・盗難・焼失等により提出できない場合

上記のように物理的に提出できなくなった場合を失念(しつねん)といいます。
このようなケースでは申請書に次の事項を追加で記載して申請します。

登記済証(登記識別情報)を提供することができない理由:失念

 登記識別情報の通知を希望しない旨を申し出ていた場合

前回の登記時に登記識別情報の通知を希望しなかった場合、
登記完了後に所有者へ登記識別情報が発送されず
登記識別情報を提出することができないため、
申請書に次の事項を追加で記載して申請します。

登記済証(登記識別情報を提供することができない理由:不通知

債権者代位権に基づいて登記がされていた場合

前回の登記時に債権者が債権者代位権に基づいて登記を行っていた場合、
債務者には登記識別情報が通知されませんので、
申請書に次の事項を追加で記載して申請します。

登記済証(登記識別情報を提供することができない理由:不通知

失効請求がされていた場合

登記識別情報の盗難により不正登記がされることを防ぐために、
あらかじめ発行された登記識別情報を失効させる手続きがあります。

この失効請求が登記名義人・相続人・一般承継人によってなされていた場合、
申請書に次の事項を追加で記載して申請します。

登記済証(登記識別情報を提供することができない理由:失効

追加的な手続き

不正登記の防止のため、登記済証または登記識別情報を提供しない登記申請を行った場合、
次のような手続きが必要となる場合があります。

事前通知・前住所通知が必要な場合に該当するかどうかの判定

事前通知

登記所が、登記義務者に対して登記申請があった旨と登記申請の内容を通知します。

登記義務者は内容が真実であれば、
その旨を原則的には登記所が通知を発した時から2週間以内に申し出ます。

登記義務者が外国に居住する場合には、
登記所が通知を発した時から4週間以内にその旨を申し出ます。

事前通知書の送付先と事前通知に対する申出の方法

前住所通知(まえじゅうしょつうち)

所有権に関する登記申請をする際に、登記申請日より前の3ヵ月以内
登記義務者の住所に関して変更登記または更正登記がされている場合、
登記義務者の登記上の住所と登記上の住所の一つ前の住所の両方に通知がされます。

地面師(じめんし)等による虚偽の住所変更登記により
真の所有者の知らない間に登記上の住所が地面師の関係先住所に変更され、
その後に所有権移転登記がされた場合、
事前通知が地面師の関係先住所に送付されることになり、真の所有者へ送付されません。

このような場合にも真の所有者へ通知がなされるようにしたのが前住所通知です。

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2013年8月1日 | コメント/トラックバック(0) |

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